キラキラ
「おぅ、お前か。」
いつものようにスタジオの扉を開けると、
噂の武ちゃんがシンセサイザーの前に座っていた。
「敬太は?」
私が聞くと、
「委員会。」
と答え、またシンセサイザーに向かう。
その横顔を見ながら考える。
祐夏は、
この無愛想で偉そうな奴のどこに惹かれたんだろう。こんな奴じゃなくたって、祐夏ぐらいかわいい子なら、他にたくさんいい人がいるだろうに。
「何?」
見られていることに気付いたらしく、武弘がこっちに顔を向ける。
「別に何も。」
ただ、この真っ直ぐな視線だけは、人を惹き付けるに違いない、とは思う。
嘘のない、真っ直ぐな視線。
――直樹くんの、
あの澄んだ瞳に、どこか似ている。全然違うようで、何かが同じだ。
それを思うと、武弘のその無遠慮な視線に、どうしても惹かれずにはいられない。悔しいけれど。
「悪い!遅れた!」
派手な扉の音と一緒に、涼しげな笑顔で敬太がスタジオに飛び込んでくる。
敬太がいるだけで、雰囲気は明るく和やかになる。
ホッとしながら、リボンをほどき、第一ボタンを外してマイクの前に立った。