キラキラ
「雪音、すごい声でしょう。武ちゃんが嬉しそうにしてるわけがわかるわ。」
祐夏が腕を絡ませて、俺の目を覗きこみながら言う。
何か全てを見透かされそうな気がして、別に何もやましいことはないのだが、目をそらして夕日が沈んだばかりの街並みを眺める。
祐夏の言う通り、雪音の声はすごい。いや、すごいなんてもんじゃない。
嬉しそうにしているかどうかは考えないようにしているが、欲しいものが手に入った、という感覚はある。
ただ、満足できない。
まだ、足りない。
もっと手に入れたい、奪ってその声の全てを飲み尽くしたい、そんな感情が湧き出てくるのを自覚していた。
「どうしたの?」
屈託なく笑う祐夏に何でもない、と答えながら、体を引き寄せてキスをする。
うっとりと目を閉じた彼女に気付かれないように、
そして、そんなことを思う自分の心に蓋をするように。