女王様御用達。
「はあ…」
ぶっちゃけ、説明されても他国の人間である僕たちに投票権はなさそうだけど。
「やっぱり他国の人だな。お前達」
「?」
「うちの国では王族は男の憧れの象徴なんだ。女にとっては理想だな」
そりゃあ一般的に王は、何においても豊かで自由だし、なりたいと思うものも多いと思うが。
「何たって、王はバケモノを倒し、今も慈悲を与え続ける勇者なのだからな」
と言いながら、写真集の横の絵本を僕に手渡す。
「『シルルクの国の英雄』この国ではお子様が必ず読む本だ」
表紙には花の絵。
「その花はシルルソウと言って、この国の象徴である花だ」
シルルソウ?
どこかで聞いたことあるような。
「元々繊維を取るための草なんだが、王様が不細工な造作の花を可愛そうに思い、品種改良して、国一番の美しい花にしたんだ。王の慈悲の象徴だな」
ああ。
レースさんの宿屋の名前だ。
「結構土産にもなっているからな。うちの国に来た記念に買っていく旅行者も多いんだ。兄さんもこれ」
と、やや分厚そうな『シルルク国のあゆみ』を手渡す。
迷惑そうな顔をしながらも、受け取るポチ。
僕はしばらく表紙を眺め、その絵本の表紙を開いた。