女王様御用達。
ぐりぐりと締め上げていくと、彼は悲鳴を上げた。


「うわああああああ!!」


その声に部屋から飛び出てくる、ポチ付き暗殺兵士。

まだポチはしがみついている。


「そこまでだ!!コイツの命が惜しくないのか!!」

と、窓からこぼれる月明かりの中、ポチの銃を頬にぐりぐり押しつけるけど、その一方でべろべろ顔を舐められている。


うわあ、本当に助けたくない。


彼の手の手に今もある短刀で、盾と柄の部分を切り離す。

剣に体の力を吸われ、彼は蹌踉めいて床に座り込んだ。


「……なんと面妖な術を使うんだ」


「言っておくが、男にしがみつかれて舐められているお前の方が十分面妖な状況だ!!」


柄を振ると剣がまた一瞬で伸びる。



「動くなと言ったろう!!」


彼と僕の間には20メートルほどの距離があった。

そして彼の背後には、階段。


…逃げようとすれば簡単に逃げられる。


「その変な、武器を捨てろ」


剣を伸ばし、奴の動きを止める方が早いか。

奴の銃が、ポチの頭を打ち抜くのが早いか。




しかし、このまま膠着状態もまずい。


このままだと、剣に栄養を取られ続けている奴らがひからびて死んでしまう。

その前にこの剣の動きを止めなければならない。

奴らの栄養源もこの剣の威力として使用され続けているからだ。





そして。

……こんなに大騒ぎしてるのにも関わらず、レースさんが出てこないのも気になる。


足で軽く叩く床は薄い。


床に穴を開け1階に移動することは出来るだろう。


このアホを見捨てたいのも山々だが、ポチをこのままにするわけにもいかない。
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