女王様御用達。
父の手作りの宿屋。
それでいて荒い作りというのは知っていたが、まさかカラクリ屋敷とは思わなかった。
いや、素人ではここまでは普通作れない。
彼らなりに身につけざるおえなかった防御手段なんだ。
壁の隙間から僕達はめちゃくちゃにされる宿屋の姿を見ることが出来た。
客室に入り、ベッドをたたき壊す。
すると、天井自体が崩れ落ちてきた。
「げっ」
グロ耐性の無いポチは顔を覆う。
「各客間に似たような仕掛けがあります。しかし、やたら酷い暴れ方をしなければ発動しないようになっています」
「お客様が間違って壊したら?」
「お客様は来ない前提で作ってますから」
彼女はわざと明るく言った。
廊下にかかっていた絵は外れない。
それを無理矢理外すと、床がはずれ、兵士がそこから消えた。
「あれは、地下水につながっています」
「……そのうち、さっきの地下室の兵士さんたちと感動の再会ってわけね」
嫌そうにポチは呟く。
「そして仲良く天国に昇るわけだ」
僕の一言にポチは呻いた。
「王子、貴方は隠れなくてもいいんじゃないでしょうか?」
赤頭巾でまた顔を隠した王子は自分を指さす。
「貴方は国王側の方。そのような頭巾を被ると間違えて殺されるかもしれません」
彼は手を振り「いいのいいの」と遠慮する。
「兄は国王側ではなく、兄側だ。それに、レースの家にボクがいることがばれるのも非常にまずいし」
「間違われてお兄様から殺される事よりもですか?」
「あんな兄に殺されるほどボクも馬鹿じゃないよ」
えらく余裕をぶっかましている。
……いいのいいのじゃない。
僕が助けなきゃいけない人間がさらに増えたし。
しかも、この人を守りきれなかったら最悪戦争になりかねない。