女王様御用達。

兵士はドアを蹴破り、宿屋に押し入ってきた。


『お前は右、俺は左だ!!』

『誰か見つけても殺すな!!罰するのはデスト様だ!!』


机をひっくり返し、皿を割り、花瓶を落とし。

奴らは大暴れする。

だけど、僕らは見つからない。


『地下室があるぞ』

『そっちか!!』


なだれ込むように地下に潜る。



「……あーあ」

レースさんは小声でため息をつく。

「もう、彼らは助かりません」

「どうしてなの?レース」

一緒に隠れなくてもいいと思うのだが、王子も一緒についてきた。

顔はまた赤い布で隠している。



「地下室を見ててください」


地下室の入り口の板が独りでにぱたりと閉まる。


「地下にワインボトルがあって、それを動かすことにより、地下室入り口が開く仕組みになってます」

「窒息死?」

彼女は壁からかすかに差し込むの光の中、首を振る。


「地下水が満たします……」


どこからか水が流れる音が聞こえてきた。


『おい、誰か開けてくれ!!水が流れてきたんだ』

蓋をバンバン叩く振動で、蓋が揺れる。

しかし、開く気配はない。

仲間が地下室のドアに手をかけるが、先ほどのように簡単には開かない。



「口で言えるほど簡単な仕掛けで出られます。しかし、言わなければ……」


彼女は残念そうに目を伏せた。


「父はカラクリを勉強していました。私や自分を守るために」


蓋をバンバン叩く音はだんだんと激しくなっていく。




「このシルルクソウには、そういったカラクリが多数仕掛けてあるのです」




今隠れている場所も壁の内側だ。

レースさんが、木の壁の小さな出っ張りのある壁を叩くと、人がしゃがんで入るくらいの扉が開いた。




中はホコリ被った人1人が通れるほどの空間。

しかし、この空間は枝分かれをしており、どこからか空気が流れていた。
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