女王様御用達。
「国境を越えるなら、この宿屋を北にいった森に入ればいい。ただ、国境近くだから巡回している兵士は多いし、レースの顔は割れている」
僕たちはレースに案内され、空気が流れている先を目指す。
「この国から出ようとした場合、どのような事情でも処刑せよと命令も下ってるしね」
「処刑する前に追えないようにします」
「クロさん、かっこいー」
ポチは楽しそうだ。
まったく、人の気もしらないで。
『ちょっと、どうしたのよ?お前ら』
聞き覚えのある声に、僕らは止まる。
『デスト様』
『野郎もお子様もバケモノも、誰1人さえ連れてこないってどういうこと?給料ださないよ?』
「そこの金属ずらせば外の様子が見れます」
ポチは立っていた位置の真ん前の壁にあった金属板をずらす。
そこから2つの穴の光が漏れる。
たしかこの位置は、リアルな絵の肖像画が置いてあった。
「目の部分が穴になっているんです」
「ほう」
僕らは壁の隙間から見るが、やはり見える視界は狭い。
視界確保の為のからくりもあったんだ。
『恐れながらデスト様、この宿屋には人っ子一人いません』
『そんなこと無いでしょ?君たちが宿屋に侵入する2分前に、バケモノちゃんは家に戻ったって、さっきぼこぼこにした警備兵が言ってたし』
「何故、ぼこる?」
ポチは首をかしげる。
「警備兵は国が雇った方だから、いかに暴力二男でもそう簡単には口はわらないんだよ。ボクも父から警備体制を聞いたくらいだし」
忠実な警備兵だ。
『外から見てても誰も出てこなかったぞ。絶対どこか隠れているはずなんだ』
と、ふらりふらりと歩き、何故かポチの前。
壁越しに、ポチと対峙する。