女王様御用達。
「ちょっと通してください」

大人一人が通れるくらいのギリギリの通路。

子供の僕が、足の間を通ってレースさんの前までよつんばで通る。

ホコリまみれの両手を叩き、歯車が重なった壁を見る。

確かに何かすれば動きそうな形だけど、金属がさび付いていて動きそうにない。


叩けば5㎝くらいの厚み。


これは、力押しで開けるしかなさそうだ。



「ここを出るとどこに続くのですか?」


「畑よ」



後ろにいたウリム王子に振り返る。

「何?」


「なんでもありません」


……王子は僕を勘ぐるかもしれない。


でも、こんな状況だ。

仕方ない。


「壁を破ります。皆さんちょっと離れてください」


「「!?」」


「はいはーい。離れます、離れまーす」

ポチがレースさんとウリム王子をつれて少し後退する。


「これくらいでいいか?」


「ああ」



彼らと十分距離がとれたのを確認し、僕は剣の柄を床に斜めにして立てる。

その切っ先は、壁にねらいを定めさせる。


「根を張れ」

無造作に張った床の板に、柄から根が瞬間的に広がる。


十分に床と剣が固定されたのを確認し、僕はまた命令をする。





「急速成長、壁を破れ!!」




ドオン。

大きな丸太となった切っ先が、轟く音とともに壁を打ち破る。

飛び散る歯車、鉄くず、建材。

昼の光が僕らに差し込む。

僕はそのすべてから顔を腕で護る。





「戻れ」




壁を貫いた人間一抱えほどの太さがある剣身を叩きくと、急速に縮む。


叩いた位置で元の剣に戻ったそれを、僕はパシンと宙で回収する。




「急ぎましょう」




レースさんもウリム王子も、目を見開いてその光景に固まっていた。

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