女王様御用達。
叩かれる壁の悲鳴を聞きながら、僕たちは壁の中走る。

舞い上がるホコリが、時たま鼻をくすぐる。

結構入り組んでいる迷宮。


レースさんも把握しきっている訳ではないのかたまに行き止まった。


そして、カラクリ師の父も素人。


「あれ?」


壁を動かしてみるが、動かないらしい。

まあこの宿屋も年数がたっているので仕方ないところもある。


「他に出口は?」

「他にもあるけど、みんな2階に続くの」


それでは逆に逃げ道がなくなってしまう。

空飛ぶ術でも覚えておけば良かった。



『火を放て。みんな丸焼きだぁ』


「あの人、何か言ってるし!!」


ポチが嫌そうに顔をゆがめた。


「本当にあの人はいつも自分の事しか考えてない」


ウリム王子も舌打ちする。


兵士がばたばた動き、床板や壁に油をまき始める。


油独特のにおいが充満した頃、今度は焦げ臭い香りが流れてきた。



「おい、まずいぞ」



そんなのポチごときに言われなくても分かっている。

< 93 / 296 >

この作品をシェア

pagetop