イチゴの気持ち ~イチゴ達のラブストーリィ~

そんなことを考えている時、いきなり春哉が植木の間から顔を出した。

『きゃ』

あまりに春哉の顔が私の顔の傍にあったのでびっくりしてしまいつい声が出てしまった。

「お前ってさ、いつも甘い匂いがしてるよな。あめのにおいっていうか…」

『そ、そうかな…』


春哉が目をつぶりわざと鼻をクンクンさせるしぐさをする。


…かっ顔が近いよ…


ついドキドキしてしまった。


なんで、なんで、春哉なんかにドキドキするの?


「これ」

春哉があめのゴミを渡した。


小さなゴミは春哉の手と私の手を触れさせた。


ドキドキと共に触れた指が熱く感じる。


「お前はさ、何が好き?」


『えっ』


好きって?何が?


「俺はミルクかな。ミルクのあめって結構うまいよな。七海は?」


ミルク?あっあめの味のことか…好きって言ったから何かと思ったよ。


『わっ、私はイチゴ味。イチゴのあめってほんと飽きないよ。イチゴあめ食べてれば機嫌
いいねって言われるくらいだもん』


「へー、そんなに好きなんだ。お前が甘い匂いがするのはイチゴあめの匂いなのかもな」


ゴミ袋がパンパンになりそうな時休み時間終了のチャイムが鳴った。
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