みどりちゃんの初恋

 ちょっとそれが悔しくて、急いでヒロっちと向き合い、わき腹をくすぐる。

 一瞬、ぴくんとなったのを感じて、

「くすぐったいんだあ〜」

 にっと笑いながらヒロっちを見上げた。

 すっと冷たい視線をあたしに刺しながら、ぽんと大きな手をあたしの頭に乗せる。

 ぽんぽん、とそれがバウンドしたと思ったら。

「ちび」

 ……………。

 ちっ………ちっ………!!

「ちびじゃないもん!ちゃんと150センチあるもんっ」

 さっさと元いた場所に戻るヒロっちの背中に向かって叫んだ。

「みどり、150センチもないじゃない。148センチでしょう?」

「し、四捨五入したら150だもんっ」

「牛乳飲まないから伸びないのよ」

「だって牛乳嫌いっ!」

「まあ、背も低い胸もないみどりは可愛いから好きだけど」

「ちょっ……ちぃっ!!」

 慌ててちぃに駆け寄れば、丁寧に椅子を引き出してくれる。それに素直に座って、ちぃを睨めば。

「あら。可愛い顔して誘ってるの?私、一応ソッチの気はないんだけど」

 にこっと微笑んで、ぎゅっと抱きしめられたあたしは、ちぃの後ろで悲しげに瞳を揺らすタツキさんと目が合った。

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