みどりちゃんの初恋

 おおっとこれは。紹介が――なんちゃらで自己紹介をし始めたのは――

「カゲ。どうしてお前がここにいるんだ」

 ――うん。総くんがいるんだよね。

「それはねー」

「きゃっ」

「みーちゃんと仲良しだから」

 ぎゅっとあたしの肩を抱き寄せた総くんはちゅっと頭に唇を押しあてた。

 ――そう。総くんの言ってた条件は『夏休み中僕も生徒会に出たいな』ということだったの。

 だから、仕方なくちぃに許可をもらったんだけど。他のみんなに言うの忘れちゃった。

「ねえ、みどり。今年度の残りの予算ってどのくらいあるの?」

「えーっと……確か、黄色いファイルに入ってると思うんだけど。後は――あ。ヒロっちパソコン開いて、今年度予算から今年度支出引いてー」

 総くんの手を払って立ち上がったあたしはハヤシっちと一緒に棚と向き合った。

 文化祭かー。確か去年はファッションショーみたいなのやったっけ?

 今年はなにやるのかなー。楽しみだなー文化祭。

 左右に分かれてハヤシっちと一緒に棚を捜索中とんっと肘がぶつかった。

「――あ、ごめ――」

「みどりちゃん、タクと何かあったの?」

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