THE DEATH
「対象を特定せずに呪いをかけるには、媒体(ばいたい)が必要…」
カロンが視線を下げたまま呟いた。

「『夢』を介して呪いをかけたと言うわけか…確かに魔力に優れている者なら……死神になら、可能かもしれん」
唸るのはボルグ。
魔導とは無縁の剣士であるが、長く生きている分それなりの知識はあった。

「…呪祖に必要なものは魔導と同じ精神力、そして、……憎しみ、だな」
想いの強さが、呪いを強くする。

「そうだな…カロンぐらいの、常人より突出した魔力、あとはこの国への強い憎しみがあれば…可能、なのかもしれん」

引き合いに出されたカロンに、カノーがチラリと視線を移す。

「な、なんですか…その目」

「…腹黒いカロちゃんなら、いつかやりかねないわねぇん」

「カノー‥‥どんな目で僕を見ているんですか」

じと目のカロンをよそめにカノーが切り出した。

「もし呪祖だったとして?皆に夢を見ないように、『寝るな』と呼びかけるのん?」

そんなの無理よ、とカノーが肩をすくめて見せた。

「一番は呪祖の圏外へ…この区画から離れてもらうのが良いんだけど、完全に隔離されてて簡単に移動なんてできるもんじゃない」

ストークが続ける。


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