白いジャージ2 ~先生と青い空~


小さい子供がビーチサンダルを落として泣いていた。



お父さんらしき人が必死に足を伸ばし、ビーチサンダルを拾おうとしていた。



でも、波に乗ってどんどん遠ざかるサンダルを見て、もうあきらめかけていた。






「俺の出番かぁ!?」





さっきまで私に甘えていた先生がさっと立ち上がった。




「それ、貸してくれる?」



先生は、その子供が手に持っていた虫取り網を指差した。



もうお父さんは疲れた顔をして、寝そべっていた。





私は、ビデオを持ってくれば良かったと後悔した。




先生は、まるで海の男のように…






堤防に片足を引っ掛けて、もう片足は水に浸かりそうになりながら、手を伸ばす。






虫取り網の棒の先が、ビーチサンダルに届くか届かないか・・・というところで子供が大声で応援し始めた。




それを見て、周りにいた大勢の人が先生とビーチサンダルを見つめていた。





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