*SWEET LESSON*




しゃがみながら声の主を見たのだけれど


「……えーっと…?」



うちの制服を着てはいるけれど、誰だか分からない。黒い短めの髪が爽やかさを演出していて


何だか和樹みたいな子だと思った。



「俺、3年の多嶋って言います。…知らないよね?」


「うーん…?ゴメン。分からない」


あたしの素直な答えに苦笑しながら


「良いんですよー。3年の授業なんて受け持った事無いんでしょう?」


と、一緒に中身を拾い集めてくれる多嶋君。



「受験生の授業なんて、とてもじゃないけど私には無理だから。

…ありがとー。それで全部だから」



「いーえ。…ね、センセー。俺と付き合わない?」


「はあっ????」



何だって!?


「だってセンセーの事好きなんだもん。問題ないよね?」


「大ありです!!いい!?私は生徒とは付き合わないですから!!」



フンッ  と、思いっきり立ち上がろうとしたのだけれど。


「うわっ」



腕を掴まれ、彼の腕の中に収まってしまった!!




「離し…」

「いいの?先生が嘘なんか吐いて」


強い力に身動きが取れない。


「嘘って、何の事かわからな」
「生徒と



付き合ってるでしょう?」





ざわりと胸が大きく歪んだ気がした。



「言う事聞いてくれないと、バラしちゃうかも。


一年の、特Aの…」


「何が条件?」



切り抜けるには、これしかないと思った。





「俺と付き合わなくても良い。


ただ、彼と別れて欲しいんだ。こちらの目的はただそれだけ」





「……それで彼が助かるのなら」





大和にだけは迷惑をかけたくない。



この選択がまた、私たちに大きな嵐を呼びよせると分かっていた。



それでも、こうするしかない。



こうするしか、ないと思っていた。





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