真面目なあたしは悪MANに恋をする
「葉南さん、いつまで見ているの?」

いつの間にか駐輪場の壁に寄りかかっていたマサ君が笑顔であたしに声をかけてくれた

「え? あれ?」

怒って帰ってしまったと思っていたマサ君が残っていて、最後まで帰らないと思っていたケンケンが帰っちゃって……どうなってるの?

「ごめんねえ…嫌な役回りを押しつけちゃって」

透理さんが、マサ君の頭を撫でてきた

「別に平気だよ。本心だし。俺、ああいう女が嫌いなんだよね。だからすっきりしたよ」

嫌な役回り?

どういうこと?

あたしは首をかしげて、透理さんとマサ君を見つめた

「ケンケンが茉莉をここに連れてくる役目で、俺が楽しい雰囲気をぶち壊して、茉莉を傷つける役目、透理さんは中間にいて見守る役目。それぞれがきちんとした役割のもとで動いていたんだよ」

「え? さっきの演技?」

マサ君の言葉にあたしは驚いた声をあげた

演技なんて思わなかったよ

本気で、ケンケンとマサ君が喧嘩しているのかと思って、ドキドキしたのに

「さあ、帰ろうかぁ。チョーは、ハナちゃんを送っていくんでしょ?」

「ああ」

片岡君が短く返事をする
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