真面目なあたしは悪MANに恋をする
「現地解散だねえ」

「俺、部屋に忘れモノしたから、それ取ってから帰るから。じゃ」

マサ君はぺこりと片岡君にお辞儀をすると、カラオケ店に戻っていった

「ああ、詰めが甘い子だね」

マサ君の背中を見送った透理さんがぼそっと口にする

「マサらしいな」

片岡君も、優しい口調で言葉にする

「最後まで悪人でいられないところが、可愛いよね」

透理さんがさびしそうに微笑むと、駐輪場にある自分のバイクに跨った

手短に別れの挨拶をすると透理さんも、バイクに乗って帰っていく

片岡君が、あたしの手を優しく握りなおしてきた

「本当は…さ。茉莉にもっとひどいことをしようって計画だったんだ。でも出来なかった。僕、葉南さんに嫌われたくなくて。長期的に、ケンと付き合わせて、ケンとの恋愛に溺れた頃に、僕と葉南さんが付き合ってる姿を見せつける。そして僕を落とそうとする茉莉に、僕は冷たくあしらう。ケンも違う女性と付き合って、二股をかけていたって茉莉の前で見せつける。んで、ケンに振られるってシナリオを考えてたんだ」

片岡君がゆっくりと首を横に振った

「できなかった。それで今回の計画に切り替えた」
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