「え…、じゃあ今の……」


「うん、発作よ、心臓の。」




動揺が隠し切れなかった。


俺が一人の人間に対して動揺してる…。



不思議で仕様がなかった。



と共に、ショックを受けた。



「同情してる?」


「いや、動揺してる。」


「なんで?」


「俺じゃないみたいだ…。」



彼女は寂しそうに笑い、話し始めた。



「藤井君には迷惑かけたくなかったから話さないつもりだったけど…。私ね、小さいころから心臓の病気なの。今まで入院もしたし、手術もした。だけど、結局今まで治ってないの。」



「…………。」



藍希が、



病気……




言いようもないショックでいっぱいだった。



「(…ショック……?)」


どうして俺が?



藍希のことなんて…



藍希……?



「やっぱり同情してるでしょ?」


「してない、ショックだ。…それで、不思議だ……俺が…」



彼女は、俺になにも聞かず、ただ頷いた。



「…ありがとう。」


「…………」





俺は……



どうしてしまったんだろう……。


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