「(だっせ……)」


半ば呆れながら、階段を駆け下りていったやつらの後姿を眺めた。


すると、


「あの…っ、ありがとう、ございました…。」


いじめられていた女子に声をかけられた。


「…別に。」


助けたつもりはなかった。


だから、気前が悪かった。



「本当に助かりました」


「助けたつもりはないよ。」


「…でも……ドア、開けてくれたじゃないですか」


「え……」



意外な一言で、びっくりした。



「そこにいたんでしょう?私、てっきりそのまま帰っちゃうと思ってました。」



そして、その子はにこっと笑った。



頬が、赤く腫れていた。



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