「ねぇ!!藤井君のこと、涼君って呼んじゃだめ?」


「…嫌だ。」


「ねぇねぇ藤井君!!サイン頂戴!!私、藤井君の大ファンなのーっ!!」


「…事務所にだめって言われてる。」





いつだって転校先ではこうだ。


1日目はだいたい質問攻めになる。



「ねぇ、藤井君!!」


「俺ちょっと用事あるから。」


「どこ?案内しようか??」


「いい、一人で行く。」




やっと教室を抜け出せた俺は、前の学校でも好きだった屋上に行った。




「鍵……空いてるかな…」


1番最初に通っていた学校では屋上に鍵がかかっていて、ものすごく不満だった。



「…あ…、空いてる…。」



少し上機嫌になりながら、ドアを開けようとした。



すると……





ドカッ パシンッ


「おい!!何とか言えよ!!!約束の金はどうした?!!」


「ご、めんなさっ…」


「あン?一週間前に約束しただろう?さっさと出せよ!!」



ドカッ 



「(カツ上げ…いじめか……)」


どこにだってあるもんだ。



そう思いながらドアを開けた。



「何とか言えよこのっ…!!おい、ズラかるぞ!!」


「お、おう!」


そいつら―――――


男女4人組は入り口に立っていた俺を押しのけ、階段を走って降りていった…。





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