がちゃっ


控えめに開けられたドアの音で、俺は目が覚めた。



「(……藍希…??)」


音を立てないよう、静かにドアが閉められ、小さな影が歩いてきた。


「(…藍希だ………)」



カーテンの隙間から差し込む月明かりが、藍希のシルエットを照らしていた。


藍希はベッドのそばまで来ると、静かに座った。



「(どうしたんだろう……)」


控えめな視線が感じられた。



「………………」


「………………」


いつもと様子が違う…。


「………………」


「………………」


しばらく沈黙が続いた。



が、堪えかねたのか、藍希が口を開いた。


「…涼君……」


ひどく怯えたような声だった。


「…どうしたの……?」


起き上がって、藍希に手を差し伸べた。


藍希は差し出された手を握り、



「えっ………」


ぎゅっと俺のパジャマを握った。


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