コタツ猫



拓ちゃんは、

あたしを抱き締めたまま

少し顔を上げ

あたしの涙を拭う…。



「なぁ…

 この涙は、嬉し涙?」



と不安げな表情で

優しく問い掛ける。




近すぎる

拓ちゃんの顔の所為で

言葉を出そうとする声が

声にならなくて…




あたしは、小さな声で


「…ゴロゴロゴロ」


と言った。




拓ちゃん、この意味

わかるかな…?




一瞬、きょとんとした顔を

した拓ちゃんは…



すぐにフッと微笑んで


「おまえは、猫かっ」


って言って笑う…。





「喉、鳴らすほど幸せ?」




   「ぅん…」



   って言う、


   あたしの鼻先に


   拓ちゃんが


   そっと


   キスをした。








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