恋口の切りかた
「ギガン……?」

私はぼう然として、

「あー……考えてみりゃ、それはそうか」

隼人がポンと手を叩いた。


ギガン……義眼……つまり、作り物の目ってこと?


「どうも最近調子が悪くってねえ。色は薄くなる、気を抜けば落ちるで……」

再び両目のそろった尼僧はそう言って、

円士郎が「な?」と、涙を浮かべていた私の頭を撫でた。

「生きた人間だろ」

尼僧はおかしそうにころころと声を立てて笑って、

「そう言えば、これを見た者が勘違いして噂になっておりますねえ」

なんて言って、


「円士郎様の仰せの通り、私は鵺の大親分の伝言番、『狒狒』の正慶と申します」


本堂の中で、正座したまましゃんと居住まいを正した。


「円士郎様には虎鶫の銀治郎がお世話になっているようで。どうぞお見知り置きを」


尼僧が頭を下げると、再びポロリと目玉が落ちて、



「うへえ」と隼人が嫌そうな顔になり、

私はやっぱり円士郎にしがみついた。
< 1,016 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop