恋口の切りかた
咄嗟に、音に合わせて刀を引き上げ、喉の位置に持っていった──


──と同時に、俺は苦鳴を漏らした。


闇の中、何かが首に巻き付き首が締め上げられる。



「さすが、結城の若様」



必死に刀を腕で押して、首との間に隙間を作ろうとしていると、耳元で囁かれてぞっとした。


「あの一瞬で、喉元に刀を滑り込ませるとは」


聞き覚えのある声は、あの盲目の三味線弾きのものだった。


「てめえ、白蚕糸……──」


こいつ──
何の気配もなく人の背後に──!?

背筋を冷たいものが滑り落ちる。


俺の首に巻き付いているのは、どうやら細い縄か──糸のようなもののようである。

まるで三味線の弦のような──


刃物が飛んでくると思った俺は、それを弾くために刀の側面が体に対して平行になるように構えていた。

刀の刃をやや外に向けるようにして上下に滑らせてみるが、しかしその縄だか糸だかのようなものはびくともしなかった。


「無駄ですよ。特殊な材料をより合わせて作られたこの細い縄は、そんなことでは切れません」


白蚕糸の声がそう告げて、俺の首を締め上げる縄にぎりぎりと力が加えられた。
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