恋口の切りかた
堪らず倒れ込み、畳みに手を突く。

「……っは……──かはッ」

喘ぎながら、呼吸と意識とを無理矢理に引き戻して、


何とか顔を上げた俺の目に、橙色の光が届いた。


眩しさに目を細め、すぐに慣れてそれが誰かの掲げた提灯の光だとわかった。

刀を握りしめ、這いつくばったままですぐさま背後を振り返る。

しかし、闇とともに消え去ったようにそこには既に誰もいなくて、冷たい汗が全身から吹き出した。


なんだ──今のは──!?


総毛立ちながら上体を起こす。


あの白蚕糸って野郎は、いったい何だ……?

あれでは、本当に、まるで──


「エン!」


俺の思考を中断させて、耳慣れた少女の声がした。

振り返り、一瞬──俺は夢を見ているのだろうかと疑った。


橙の明かりの中に、留玖が立っていた。

涙を浮かべて俺を見下ろす彼女は、いつもの男の格好ではなく、花柄の可愛らしい小袖姿で──こんな状況にも関わらず、俺はぼうっと見とれてしまった。


「エンっ!」


もう一度、留玖が叫んで、

凄い勢いで俺に駆け寄ってきて、そのまま抱きついて俺を抱き締めた。
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