恋口の切りかた
「おい! どういうことだ!?」

俺の姿を認めた神崎帯刀が、険しい表情で大股に近づいてきた。

「屋敷に行った使いの者の話では、まだ何もわかっていないという話だったぞ!? どうして貴様がここにいる!?」

あークソ面倒臭ェな、と俺がげんなりしたところで、

「む?」

帯刀が与一に目を留めた。

「この散切り頭も白輝血の仲間だな?」

「違いますっ!」

帯刀から与一を庇うように走り出てきた留玖に、俺は驚いた。

「この人は、さらわれた私のことを助けてくれたんです! 兵五郎の仲間ではありません!」

と、留玖は帯刀をまっすぐ見上げてキッパリと言いきった。

帯刀は花柄の小袖姿の留玖を穴が開くほど眺めて、

「結城の十兵衛殿? なぜそのような格好を……?」

不思議そうに首を傾げた。

……そうだった、そうだった。
こいつには、留玖のことを俺の弟の十兵衛だと紹介したままだった。
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