恋口の切りかた
ちょうど巨大なお椀の内側を全て鏡張りにしたような、
大人の身長ほどの直径を持つ円形の鏡が二つ、

行く手を塞いで俺の目の前に並べて置かれていた。

「こんな、コトも、あろうカと、もってキテ、よかっタ」

聞き取りづらい、滑舌の悪い声がして、

一方の鏡の後ろから、ひょこりと真っ白な狐のお面が覗いた。


続いてもう一つの鏡の後ろからも、兵五郎が顔を出した。

「ははは! 誰が逃げるかい、結城のお坊ちゃま」


巨大な鏡の下には車輪が取り付けられている。

どうやら煙幕を張った今の隙に、脇道に隠してあったこの二つの鏡を通りに運び出したようだった。


「なんだ、それは──!?」


薄々その正体に気づいて慄然としながら呟いた俺に、


「ワシが、つくっタ、コガタの、アマテラス、だヨ」


狐面が含み笑いをしながら答えた。
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