恋口の切りかた

 【円】

「円士郎様もよく似合ってると思うだろ?」

与一がそんなことを言ってきて、俺はカチンとした。


確かに、花柄の着物に身を包んだ留玖は──めちゃくちゃかわいい。

男物の着物姿ばかり目にしていた俺には、夢なんじゃないかと思えるほど、よく似合っている。


留玖が、どこか期待の滲んだ大きな瞳で俺を見つめてきて──



「ふん、似合わねー」


何言ってんだ俺──!?

そうツッコミつつも、


「留玖にはこんな格好なんて、全っ然、似合わねーよ」


他の男が──与一が勝手に着替えさせた格好なのだと思ったら、
我慢ならなくて、
絶対に認めたくなくて、


「留玖は女の格好なんざする必要ねーんだよ!」


気づけばそう言い放っていた。


留玖が物凄くガッカリしたように項垂れるのを見て、
年頃の女の子に対してとんでもない暴言を吐いたのだと自覚して、
そんなことない、似合ってる! と言い直したい衝動に駆られたが──

またしても俺の中の下らない自尊心が邪魔をして、できなかった。
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