恋口の切りかた
人相の悪いガッチリした大男と、爬虫類のようなぎょろついた目つきの男。

どちらも、銀治郎のところの子分だと言っても通用しそうな凶悪な面構えである。


「殿様の家から養子に来た育ちのいいお坊ちゃんにしては、ヤクザみてーな家来を連れてるじゃねェか」


家老家の家来には見えないし、殿様の家から連れてきた家来だとすればますますそうは見えなかった。


俺の言葉にも家老見習いの若者は顔色一つ変えず、凍てついた微笑を保ったままで──





その場を後にして屋敷へと戻りながら、

この日、俺の中で海野清十郎という男は「気に入らない」「忌々しい」「ムカつく最悪の野郎」という位置づけになったのだった。



清十郎が終始ニヤニヤと見下すように俺に向けてきた
冷たい笑いの意味を俺が知るのは、まだ先のことだった──。
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