恋口の切りかた
手合わせを終えて、提灯の明かりの中で帰り支度をしていると

「留玖殿の兄上の円士郎殿。
彼は家中では城代家老の伊羽殿とは仲が悪いとの噂を聞いたが──本当か?」

清十郎はそんなことを訊いてきた。

お殿様の家から来られた人に敬語を使われるのも恐縮だと私が言って、清十郎と私は互いに砕けた口調で話すようになっていた。

「えっ?」

唐突な話題に戸惑いながらも、

「そうなんじゃないかな……」

五年前のことがあるため、結城家と伊羽家との繋がりは知られては駄目だという判断が働いて、私はそう答えた。

「ふうん」

清十郎は探るような視線を私に注いだままで、私は何だか居心地が悪くなってうつむいた。

「では、伊羽殿と兄上が刃を交えたならばどちらが死ぬと思う?」

清十郎は続けてそんな質問をしてきて、私はびっくりして顔を上げて彼を見た。

「どうしてそんなことを……」

「別に。たとえばの話。ただの興味さ」

そう答える清十郎の表情は読めなくて、ただ冷たい目をしていることだけがわかった。

「……伊羽様が、勝つと思う」

私は二人の力量を頭の中で比べて、小さな声で答えた。

答えながら清十郎の質問を思い出す。


清十郎は──

どちらが勝つか? でも
どちらが負けるか? でもなく、

どちらが死ぬか?

と尋ねた。


その質問の仕方は、とても嫌な感じがした。
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