恋口の切りかた
純粋に剣の稽古をしているつもりだったのに──


悲しくて、悔しくて、

屋敷を抜け出してこんな真似を繰り返したことを後悔した。


「お前は強くて綺麗で純粋で──いい女だ、留玖」

清十郎がまた一歩近づいて、

「お前が気に入った」

私は震えながら一歩下がって──足下の草に草履が引っかかってよろめいて、

そこで再び腕を捕まえられた。


「いや……!」

逃げようとしたけれど腕力では敵わなくて

引き寄せられて、後ろから抱き締められて

「俺のモノになれよ、留玖」

清十郎が耳元で囁いた。

「それとも、惚れた男でもいるのか?」

その質問に、脳裏には円士郎の顔が浮かんで、私は唇を噛みしめた。

そんな私の顔を覗き込んで、清十郎は「へえ」と面白そうに口の端を吊り上げた。

「惚れてる男がいるんだな」

ふうん、と呟いて、清十郎が唇を首筋に押しつけてきた。

「いや! エン……っ」

私は思わず彼の名を呼んで──
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