恋口の切りかた
【剣】
私に別式女としてお城で剣術指南を、という話が来たと聞かされて
私はびっくりして──
幼い頃、漣太郎から
「大きくなったら武芸者になれよ」
と言われた記憶が蘇って、
女の身だから無理だと思ったその話が、まさか現実になるとはと思って、恐れ多い気がしつつも嬉しかった。
けれど、
そのお役目の内容を聞いて、
ほとんど毎日お城の奥で寝泊まりしなければならないと知って──
急に心細くなった。
「お前の役目は何も本格的な警護じゃねえんだから、結城家にもちゃんと戻って来られるし、稽古で道場に通うことも許可されてるし、非番の日だってあるし……泊まり込みつっても、俺が盗賊改め方の役宅に寝泊まりするくらいの頻度だって」
円士郎はそう言ったけれど、
「だってお互いにそうやって役目についたら……そんなの、エンと一緒にいられなくなっちゃう」
結城家に来てからずっと、円士郎と一緒だったのに。
これまでは、例え屋敷に円士郎がいない時でも、
役目を手伝うという名目で役宅に行けばいつでも円士郎に会えたのに。
私は寂しくて、
不安で、
「エンは、私と一緒にいたくないの?」
ついついべそをかきながらそんなことを口にしてしまって、
「そんなワケねーだろ」
そう返してきた円士郎の態度は、どこかそっけない気がした。
薄々気がついてはいた。
私が清十郎を破ったあの試合をして、
円士郎が皆の前で私よりも剣の腕が劣ると清十郎に言われたあの日から──
私に接してくれる時の円士郎からは
変わらず優しくはあっても、常に沈んでいるような……重苦しい空気が感じられるようになってしまった。