恋口の切りかた
その先──


彼が、言おうとしていることは……

私に、言わせようとしていることは……



だけど、

だって、

それは──



「許されない、って気持ちのほうがまだ、強いか」



私の心をすくい取るように、円士郎が言った。



「俺はまだ、お前のその気持ちに勝てないか」



そう言う彼の表情は寂しそうで──



「わ……私は……」



温かな風が吹いて、桜の枝がさわさわと揺れた。



しばらく黙ったまま見つめ合って、


やがて、

ふふっと、円士郎が微笑んで、

諦めたように吐息をもらした。


「悪い、留玖。お前を困らせちまったな」


ポンポンと、昔から何度もしてくれたように、円士郎は私の頭を優しく叩いた。
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