恋口の切りかた
それから彼は私を抱っこしたまま身を起こして、
桜だらけになった体を軽くはたいて、

懐から包みを取り出して、私に渡した。


「俺からの祝いだ」


「え──」


私は包みを開いて、

中からは銀色の輝きが現れた。


「これ……」

「前に、次は二番目に好きな花のもやるって言っただろ」


今私の髪にあるのとそろいの、蓮の花の透かし細工のかんざしだった。


「役目、がんばれよ」

「うん……うん……」


私は胸がいっぱいになって、また涙をこぼして頷いて、


「嬉しい。大事にする……」


そう言ったら、円士郎はいたずらっぽく笑った。


「じゃあ、お礼」

「ふえ?」


円士郎は自分の唇をとんとんと指で示して、


「たまにはお前からしろよ」


私は一気にほっぺたが大火事になった。


い……いじわるぅ……。


途方に暮れながら、

それでも、


私は彼に顔を寄せて、そっと目を閉じて、
どきどきしながら唇を合わせて──
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