恋口の切りかた
「殿様の、そば……に……?」


からからに干上がった喉で、俺は親父殿の言葉を繰り返して、


「そうだ、円士郎。

この国を治める砂倉家の御当主である──砂倉左馬允(さめじょう)様の側室に留玖をという話だ」


俺は親父殿を見つめて、


「留玖のことは諦めろ、円士郎」


真っ白になった頭の中に、親父殿の残酷な命令が届いた。
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