恋口の切りかた
「冬馬、お前はそこでそうやって休んでろ。死ぬなよ」

冬馬にそう告げて、
腹の中にふつふつと怒りがわくのを感じながら、夜叉之助を睨み据える。

「幼い頃を共に過ごした、血が繋がった兄弟に刃を向けて──ためらった冬馬は人の子だ」


迷って当然だ。


たとえ俺のことを兄と慕っていてくれたとしても、
親父殿や母上を本当の家族と思っていたとしても──

それでもこいつにとって、夜叉之助はこの世でたった一人の血の繋がった肉親だ。


俺は苦しむ留玖の姿をずっと見てきた。

実の家族への思いというものは、どんなに歳月を経ようともそうそう簡単に断ち切れるものではないだろう。



それを、夜叉之助は──



「そんな冬馬を、てめえは迷いなく斬ったのかよ……!」


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