恋口の切りかた
「何を言っている?
理解できんのは、羅刹丸のほうだ。
若い侍は六郎太を斬った後、自分にも俺たちと同じ年頃の子供がいる、養子になれなどと言ってきたが──
馬鹿馬鹿しい!」
夜叉之助は冬馬に視線を移して吐き捨てた。
「俺はね、あの忌々しい男が殺されて、
ようやくこれからは残った仲間を集めて、この俺が他人を使ってやる番だと思ったんだ」
「てめえは──」
円士郎が絶句した。
「それなのに、どうしてまた父親などという存在の支配を受けようという気になるんだ?
しかもよりにもよって、闇鴉の一味を壊滅させた相手の子になろうとは──
俺には羅刹丸の行動は理解不能だったね」
氷のようなその声に重なって、ゴロゴロと空で雷鳴が轟いた。
理解できんのは、羅刹丸のほうだ。
若い侍は六郎太を斬った後、自分にも俺たちと同じ年頃の子供がいる、養子になれなどと言ってきたが──
馬鹿馬鹿しい!」
夜叉之助は冬馬に視線を移して吐き捨てた。
「俺はね、あの忌々しい男が殺されて、
ようやくこれからは残った仲間を集めて、この俺が他人を使ってやる番だと思ったんだ」
「てめえは──」
円士郎が絶句した。
「それなのに、どうしてまた父親などという存在の支配を受けようという気になるんだ?
しかもよりにもよって、闇鴉の一味を壊滅させた相手の子になろうとは──
俺には羅刹丸の行動は理解不能だったね」
氷のようなその声に重なって、ゴロゴロと空で雷鳴が轟いた。