恋口の切りかた
「冬馬はな、兄はこの世で俺一人だと言ったんだよ」
円士郎が、怒りに燃える目で夜叉之助を睨みつけて口を開いた。
「こいつは闇鴉の一味を一緒に討つと本気で覚悟してたんだ。
その冬馬が──血の繋がったお前を斬ることをためらって、てめえを哀れだと言ったんだぞ!
なのに……冬馬のことを羅刹丸と呼んで、自分の弟だと言うてめえは、冬馬をためらいなく斬った……!」
円士郎は両手に二刀を構えて、切っ先を夜叉之助に向けた。
「留玖も青文も、そして冬馬も──過去につらい思いをしてきても、人の心を失わなかった」
円士郎は一瞬だけ私のほうを見て、眉を歪めてそう言った。
エン……。
ぎゅっと、私は手の中の刀を握りしめた。
そうやっていつも、私のことで心を痛めてくれる。
昔から私を心配して、一緒に苦しんでくれる。
やっぱり、いやだよ。
あなたを失うなんて──絶対にいやだ……!
「だが、てめえは人の心がわからねえ無情なだけの賊だ! 兄でも何でもねえ!」
円士郎がそう叫んで、右手の長刀をびゅっと真横に一振りした。
「こいつは俺の弟の結城冬馬だ。
二度とこいつのことを羅刹丸と呼ぶな……!」
ふん、と鼻で笑って、夜叉之助もまた刀を抜き放って両手で二刀流の構えをとった。
「兄上……」
互いに刀を向けて対峙する義理の兄と実の兄とに視線を送って、冬馬が悲しそうな声を出した。
「違うのです……その男は──夜叉之助は──私や姉上とは……」
円士郎が、怒りに燃える目で夜叉之助を睨みつけて口を開いた。
「こいつは闇鴉の一味を一緒に討つと本気で覚悟してたんだ。
その冬馬が──血の繋がったお前を斬ることをためらって、てめえを哀れだと言ったんだぞ!
なのに……冬馬のことを羅刹丸と呼んで、自分の弟だと言うてめえは、冬馬をためらいなく斬った……!」
円士郎は両手に二刀を構えて、切っ先を夜叉之助に向けた。
「留玖も青文も、そして冬馬も──過去につらい思いをしてきても、人の心を失わなかった」
円士郎は一瞬だけ私のほうを見て、眉を歪めてそう言った。
エン……。
ぎゅっと、私は手の中の刀を握りしめた。
そうやっていつも、私のことで心を痛めてくれる。
昔から私を心配して、一緒に苦しんでくれる。
やっぱり、いやだよ。
あなたを失うなんて──絶対にいやだ……!
「だが、てめえは人の心がわからねえ無情なだけの賊だ! 兄でも何でもねえ!」
円士郎がそう叫んで、右手の長刀をびゅっと真横に一振りした。
「こいつは俺の弟の結城冬馬だ。
二度とこいつのことを羅刹丸と呼ぶな……!」
ふん、と鼻で笑って、夜叉之助もまた刀を抜き放って両手で二刀流の構えをとった。
「兄上……」
互いに刀を向けて対峙する義理の兄と実の兄とに視線を送って、冬馬が悲しそうな声を出した。
「違うのです……その男は──夜叉之助は──私や姉上とは……」