恋口の切りかた
りつ様は私の心を読んだように、
ふふ、と笑って、

「わっちはもう二十五じゃ。ぬしが思うほど若くもありんせん」

また不思議な──優雅でどこかもの悲しい──言葉でそう言った。


それから私がにぎっている黄色い花の束を見て、


「オミナエシか」と言った。


「どれ、生けてやろう」

りつ様は、そう言って私から黄色い花を受け取った。


「オミナエシという花はな、漢字で女郎花と書くんじゃ」

「女郎?」

「元々は女の飯からオミナエシとか。女郎も元は女の意味だが、今ではお女郎と言えば、ほれ──遊女のことよ」


りつ様はころころと笑った。


──遊……女?


私には、りつ様が何を言い出したのかよくわからなかった。


「変な言葉と思いんしたか? 気をつけてはおるものの、染みこんだしゃべり方がなかなか抜けんのじゃ」

わっちはの、留玖殿──と、りつ様は続けた。


「晴蔵様に身請けされてこのお屋敷に来る前、吉原という所におったんじゃ」

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