恋口の切りかた
きょとん、とする私に優しい微笑みを見せて、
りつ様は黄色い花を花瓶に生けた。


「留玖殿は、わっちのことについては何も聞かされておらんのじゃな」


「はい」

私はうなずいた。

「雪丸のお母上様だということしか……。
ヨシワラというのは、どちらのお郷里ですか?」


りつ様は声を立てて笑った。

「吉原は江戸の里じゃ」

「りつ様は江戸の方なのですか……!」


私が言うと、りつ様はまた笑って、

「吉原はな、里は里でも遊里じゃ」


何のことかわからず首をひねった私を見て、りつ様はたずねた。


「留玖殿は農民の出だと聞きんした。村に女衒が来ることはなかったかの」

「ゼゲン……って何ですか?」

「女衒とは人買いじゃ。女の子供を連れていく」

「──ああ」


私は思い出した。

村にいたころ、
食べていくのに困って子供を売るときには、女の子を買いに来る者がいると聞かされていた。
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