恋口の切りかた
「わっちはの、笑える話だが──女衒に連れられて吉原に行く前は、もともと武家の生まれじゃ」
「えっ……」
私はびっくりした。
武家の女の子が──農民と同じように売られて行くなんてことがあるのだろうか。
「とは言っても、親はしがない田舎の下級武士。
結城家のような上級の生まれではなかったが。
しかも仕えていた殿様のお家は、わっちが五つの時に改易(かいえき)──
それから吉原に売られ、晴蔵様に身請けされるまで──女郎として過ごした時間のほうがはるかに長い」
「カイエキ……とは、何でしょうか?」
「お家がお取りつぶしになることじゃ」
「えっ……」
私はびっくりした。
武家の女の子が──農民と同じように売られて行くなんてことがあるのだろうか。
「とは言っても、親はしがない田舎の下級武士。
結城家のような上級の生まれではなかったが。
しかも仕えていた殿様のお家は、わっちが五つの時に改易(かいえき)──
それから吉原に売られ、晴蔵様に身請けされるまで──女郎として過ごした時間のほうがはるかに長い」
「カイエキ……とは、何でしょうか?」
「お家がお取りつぶしになることじゃ」