恋口の切りかた
びくん、と震える私の肩を、円士郎がぎゅっと抱き寄せた。


「そうだな。だから、この俺が腹を切れば片が付く」


殿に向かって、円士郎は気安い口調で話しかけて、

隼人や帯刀が息を呑み、海野喜左衛門が「ぶ、無礼な……」と顔を強ばらせた。


「よい。この場でのやりとりは捨て置け」

殿はそう言って、

「では、賊を斬って雪辱を果たした今、この場で腹を切るのか?」

私と円士郎を見比べてそう尋ねた。


私の頭のすぐ上で、円士郎が低く笑った。

「悪いな、左馬允サマ。
気が変わった。切腹はやめだ」
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