恋口の切りかた
「この人は、何者ですか!?」

私はいつでも刀を抜ける体勢をたもったまま、あやしい男ではなくてりつ様に聞いた。

もっとも、この状況で導き出される答えは一つしかない。


「なんで、ここに──こんな人がいるんですか!?」


ぷん、と目の前の男からは血のにおいがする。

見たところ男は手ぶらで、武器らしい武器は見えないようだけれど──



──まさか本当に、逃げた罪人がこの家に入り込んでいたなんて!


「その者は……」
「ゆ、結城様にっ!」

りつ様の言葉をさえぎって、男は必死の様子で言った。

「結城晴蔵様に会わせてくれ!」
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