恋口の切りかた
斬った?
りつ様の話ではたしか、刺し殺したって聞いたような覚えがあるけれど。
「しかし肝心のもう一人が斬れず……顔を見られて──」
──!?
「留玖殿」と、混乱する私に向かってりつ様が静かに言った。
「この者は、留玖殿が斬るように言われた、捕り物騒動の罪人ではありんせん」
「えっ」
って、だれ!?
ぽかんとなる私の前で、
「こちらへ」と、りつ様にうながされ、男は襖の奥の暗がりから行灯の明かりの中にのっそりと出てきた。