恋口の切りかた
しかしその問いにも、堀口は黙ったままだった。

「話すべきことはお伝えいたしました。どうか結城様にお目通りを!」

「わっちには手にあまりすぎるお話。晴蔵様にお伝えしなければ……留玖殿、晴蔵様を」

と、りつ様が青い顔でうながすように私を見た。


堀口青年もすがるように私を見上げた。

「先法御三家筆頭である結城家は、御家老衆の下にもしばられないお家柄(いえがら)。
たとえ御家老と対立されても、言い分しだいで意を通せるはずです。

今宵のことは私の独断行動。堀口家現当主である我が父も知りません。
ですがこのままでは、私一人のために我が堀口家は──! 

なにとぞ、なにとぞご当主様のご助力をッ!」


そうなんだ。

私は改めて結城家が、この国でどれだけの権力を持つ家なのかを知った。


御家老様の下にない。

だから、この人は──大河道場とも親睦(しんぼく)の深い父上に助けを求めてきた……ということなのだろうか。

荷担がどうのという話からは、どうもそれだけではないようだけれど。


でも言い分しだいって、御家老様を闇討ちにしようとしても言い分なんて立つものなのだろうか。



それに今、父上は──。


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