恋口の切りかた
「それが……父は今家を空けています」

私は、今度は正直に伝えた。


こういう場合、誰に指示を仰げばいいのだろう。
次期当主って言っても、漣太郎は私と同じ子供だし。

やっぱり、母上の奈津様だろうか。


「なんと……! かような時分に、いずこに……?」

堀口は、父上の行き先まで追いかけて行きそうな様子できいてきた。

今の話の流れからは言うべきかどうか迷ったが、やはり判断がつかなかったので──

ばかな子供の私は──

ばか正直に──



答えた。





「ええと、さっき伊羽様から呼ばれて、お屋敷へ」






離れの中の空気が凍りついた。



< 256 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop