恋口の切りかた
円士郎は自分でお椀のお粥を一度すすってみて、

「よし、今度は大丈夫だな」

再びお椀を私に差し出した。


ええっと……。

私はお椀に口をつけるのを少しためらった。


円士郎が差し出してきたお椀の縁、
だってそこは──


今、円士郎が唇をつけた所だった。


べ、別にこんなの、気にするほうがおかしいのかもしれないけど──

間接的な口づけ、ってことに……


「ん? どうした?」

「……な、なんでもない」


私はふるふる首を振って、

そして
お椀に口をつけた。


何だか意識してしまって、円士郎に食べさせてもらっている間中、胸がどきどきした。
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