恋口の切りかた
「おい、留玖──辛いのか?」

つらかった。
でも、体が苦しいわけじゃない。


「だってエンが、優しいから……」

それが、つらい──。

「え……?」
円士郎はキョトンとした表情で私を見つめた。


胸が苦しいよ。

「……どうして? どうして、そんな優しくしてくれるの?」


今日は、こんな風に優しくなんかされたくなかった……。


「どうしてって、お前が具合悪そうだから──」

円士郎は困ったように私から視線を逸らして、ふいとそっぽを向いた。


そのまま、壁を睨みつけて

「優しくしちゃいけないのかよ。お前は俺にとって大事な──」

妹だ、とは言わず、

ここで、言いかけたセリフを途切れさせて、円士郎は言葉を探すように視線を泳がせた。


「俺にとって、大事な奴だ」

しばしの後、円士郎はそういう言い方をした。
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