恋口の切りかた
私は寝間着の袖で涙をぬぐった。
私もだ、と思う。

「私だってそうだよ」

大事な兄……というのとは少し違う気がするけど、でも

「エンは大事な人だよ」

考えてみれば彼は、私が刀丸の時からずっと一緒にいて、今も一緒にいるたった一人の人間だった。

家族に捨てられて、そのときも円士郎だけはそばにいてくれたのだ。
私の味方でいてくれた。

今の私にとってはたぶん、この世で一番──


「一番大切な人だよ」


「え」と小さく呟いて、円士郎が私を振り返った。
心なしか頬が赤くなっている。

……?

珍しいけど、照れてるのかな。
でも私には真面目で大切な話だ。


「私も、どんなことがあってもエンの味方だから。絶対にそばにいるから」

< 369 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop