恋口の切りかた
法被の胸ぐらをつかむと、遊水は俺から視線を逸らして──


その目が泳いだ。


な、何だ?

冗談にしちゃ笑えないぞ。

何だよそりゃ、マジかよ……
い、いやいやそんな馬鹿なこの二人が……


俺が背中に嫌な汗が滲むのを感じていると、


「兄上も、いらしてたのですか──?」

横で冬馬の掠れた声がして、


彼の口からは、とんでもない言葉が飛び出した。


「……この者は、以前より姉上と恋仲なのではないですか?」

「なにィイイ!?」
「えええええ!?」


思わず絶叫したら、何故か留玖と声が重なった。


「お、オイオイ、冗談だろ!?」
「な、ななな何言ってるの、冬馬っ!?」


同時に叫んだ俺たちを見比べて、冬馬はいつものようにクソ真面目に言った。

「兄上は気がついてなかったのですか?」
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